12月21日生まれ。福岡県出身。O型。
博多に住んでいたころにスカウトされ女王様になる。
その時に出会ったお客さんの数は1万人を超える。
98年、女王様を引退。
女王様の時から人が集まれる場所を作りたいという思いがあり、渋谷でバーを経営。
最初は赤字経営であったがやがて20歳~80歳までの幅広い客層に支持され黒字経営に。
お金を儲けることよりも人との出会いを大切にし、常に人から学ぶ姿勢を持つ。
多くの人と出会ってきた経験から人の洞察力に長けている。
最近では、映画やドラマなど、役者の演技指導を頼まれ、多忙な日々を過ごす。
園子温監督の「愛のむきだし」では、出演とキャスティングに両方に携わる。
映像作家、監督、タレント、舞台プロデュース、マンガ原作など多才な顔を持つを
マルチクリエイター。
ファンからの呼び名は「残虐天使」。
月花さんHP
http://www.tsukika.org/
NOTTV
『女王様のおもてなし』好評配信中
「はい、月花です。」
電話の向こうから透き通るような声が聞こえてきた。
ファンの方から『残虐天使』と呼ばれる人の声とは思えずヨウメイの心はドキドキした。
当時引きこもりならぬ立てこもりを続けていたヨウメイのところに、たかっしーから電話がかかってきた。
普段,コンビニの店員と家賃の請求にくる大家さん以外に話す人がいなかったので、
着信を見てすぐに電話に出た。
「今度、デパートメントHというイベントが鴬谷でやっているから一緒にいかないか?
費用は俺が出してやるから」
イベントの内容を聞くと、「デパートメントH」は94年から始まり、これまで続くイベント。
そして、毎月第一土曜日に開催されている。当初は渋谷で始まったのだがいろいろあり、
現在は拠点を鴬谷に移し、定期的に催されているらしい。
イベントに参加する方々は、コスプレをした人やゲイやレズの方々が集まる。
そして、何よりもピュアな心をもった人だけが入店することが許可されている大人の社交場、
「ドリームクラブ」ではなく「東京キネマ倶楽部」で開催さている。
たかっしー曰く、
鴬谷という拠点が何か独特の雰囲気を持っている場所で、そこで開催されているには理由があると。
そこまでの話を聞き、面白い人たちに会えるかもしれない!
当然のことながら、何の予定も入っていなかったので、すぐにOKの返事をしたどあほなヨウメイである。
そして、「デパートメントH」が開催される日、ヨウメイとたかっしーは朝から福生にいた。
特別な人の紹介で米軍基地内を案内してもらえることになり、深夜イベントを控えているにも関わらず、
のこのことやって来ていた。
米軍基地に入る為には運転免許書とそのパスワードかパスポートを必ず持ってこいとキーツく念を押されていた。
運転免許書のパスワードは常に使っている番号だったので、
パスポートはスルーして迷わず家に置いてきたどあほなヨウメイ。これが悲劇への始まりであった。
福生基地内を案内してくれる方と合流し、基地内に入る為に審査ゲートに向かった。
そこで、運転免許証の掲示とパスワードを入力しなければならない。
パスワードは3回間違えるとロックされ、警察署に行かないと解除できない。
間違える訳はないと思っていた。
しかし、予定通りと言わんばかりに悲劇が起きた。
入力するパスワードが間違っているのである。
しかも自分が覚えていた番号を打ち込むが3回ともエラーが表示され、
免許証のパスワードにロックがかかってしまった。
たかっしーは難なくパス。
基地内に入れるたかっしーと塀の外に追い出されるヨウメイ。
昔から思うが、肝心な時に必ずといっていいほどずっこける。
「もしかして」と思ったらそちらも準備すればよかっただけである。
入れないことになったのでもう悔やんでも仕方ないので大人の社交場「デパートメントH」にむけ
無駄な力は使わないように体力を温存する作戦にでるヨウメイ。
その為に喫茶店で時間をつぶすことに。
すると、基地内を見学して満足気なたかっしーが戻ってきた。
今日のイベントはこれで終わりというオーラをヨウメイは見逃さなかった。
案の定たかっしーから、
「『デパートメントH』が始まるのが、深夜25時からなので、一度家に帰ってから現場に集合」
と神の一声があった。
何か嫌な予感がした。
しかし、
「このまま行きましょう」
と口にすることができなかった。
なぜなら、たかっしーの機嫌を損なうと入場料が払ってもらえなくなるからである。
従わざるを得ない。
言われた通り家に戻り、最終電車で新宿へ出て、そこで山の手線に乗り換え、目的地の鴬谷へ向かう。
鴬谷駅を出てたかっしーを探すがいるはずがない。悪い予感が当たりそうである。
恐る恐るたかっしーに電話をかけると家にいた!
「今日は疲れたから行けない、一人で行ってこいよ」
「分かりました。ちなみに、入場料は出して頂けるんですよね」
恐る恐る聞いてみた、するとたかっしーから思わぬ一言が返って来た!
「え、金出すの?だったらそれなりの成果を出してこい。それなら入場料出してやる」
鬼である。
自分で一緒に行こうと誘っておきながら、イベントに来ない上にチケット代も出さないのである。
そのうえ、入場料は払ってやると確かに言っていた。
貯金が減ってきているヨウメイにとってはチケット代は死活問題にかかわる。
それが、「レポートの内容次第で入場料を払ってやる」と。
これはダメだ、あきらめて帰ろうかなと思った。
しかし、終電は行ってしまい、帰るすべは無くしている。
そして、周りにあるのはラブホテルばかり。
これはたかっしーが与えた新たなミッションだと思い、会場に向かうことにした。
そして必ず入場料はむしり取ってやろうと思った。
楽しむはずのイベントが急にお仕事に変わった瞬間である。
鶯谷駅を出て陸橋を降りたたところにある、レトロな建物の6階に東京キネマ倶楽部がある。
入り口には「デパートメントH」の告知も何も出ていない。
ただ、1階に設置されたエレベーターにコスプレをした方々が多く乗り込んでいく。
面白そうなひとがいっぱいいるではないか!
これはたかっしーを満足させられるレポートが書けるかもしれない。
その為には面白い人に話を聞かなければ。
」そして、配信に出演してくれるひともこの中から是非とも探さなければならない。
それが今回たかっしーから与えられたミッションであると前向きに考える。
会場は6階がステージと物販スペース。
7階が吹き抜けになっていて上からステージが見わたせるようになっているラウンジである。
会場には600人以上のお客さんがいた。
オカマの人、ゲイのカップル、ドラッグクイーンやコスプレをした人。
これまでに行ったことのない空間がそこにはあった。
ココにはピュアな心を持った大人しかいないんだと強く心に言い聞かせるヨウメイ。
誰かに話しかけ面白い話をきかなければと思い周りを見渡すとオカマの人がそこにいた。
恐る恐る
「すみません始めてなんですけど」
と勇気をだして話しかけると、
「あらー始めてなの、一口飲む」
とビールを差し出された。これは受け取らなければ話しが進まない。
瓶をうけっとった瞬間、オカマの人の手がヨウメイの股間にタッチした。
耐えるんだヨウメイ。入場料がかかっている。
ミッション遂行のためには面白い話を聞き出さなければならない。
どうしてオカマになられたのか詳しく話しを聞くと60歳でオカマに目覚められたらしい。
ふと横を見ると、女王様が奴隷の人をムチでたたいている。
奴隷の男性の背中はムチの痕で真っ赤かになっている。
痛くないのかな?
興味津津で奴隷の男性に聞いてみた。
「ご職業はなんですか?」
「某有名企業でプログラマーをやってます。」
「痛くないんですか?」
「きもちいいです」
女王様の人にも聞いてみたが今は忙しいから後にしてと言われたので後で聞きにいくことにした。
急に人気アニメのまどかマギカのエンディングテーマが流れだした。
メインイベントが始まったのである。ステージ上にはまどかの衣装を着た女性。
しかし、後ろを向いた時、背中にはリングが3つほどついていた。服にではない。
背中にピアスのように刺さったリングにワイヤーがかけられる。
そして男性4人がワイヤーを引っ張り、女性の体が徐々にステージ上から空中にあがっていく。
そしてピーターパンのように空中を浮遊しだした。
笑顔を振りまいている女性。ただし、背中に付いているリングからは鮮血がでている!
痛くないのか! でも楽しそうに飛んでいる!
イベントへの出演が終わった女性のところへ行って聞いてみた。
「痛くないんですか?」
「痛いです!」
痛いのにそれが快感に変っているのかよく分からなくなった。
これは分かる人に教えてもらわなければと思った。
たかっしーに「デパートメントH」のレポートをまとめて送る。
撮影した映像と写真も一緒に添えて。たかっしー、レポートの内容に満足げなようである。
「入場料は払ってやるよ!」
神のお言葉がヨウメイに降り注いだ。
交通費と中に持ち込んだ飲食物も請求しようかと思ったが、機嫌を損ねる恐れが合ったので
さすがにそれはしないちょっと学習したヨウメイ。
イベント自体が面白かったので友達のヤマーンに伝えると面白い人がいるからと月花さん紹介してくれた。
すぐに企画書を送ると、「夜に電話をください」との伝言を聞いた。
電話をかける前に月花さんのことを調べなければと思いツイッターの情報を検索する。
ひっかかる言葉が!「残虐天使」「毒蟲」見慣れない単語である。
痛いことが好きな方なのか?もしかしてとんでもない人に
声をかけてしまったのかもしれないと思った。
しかし写真に写っている姿はめさめさきれいである。
そして、夜になり電話をかけた。そして声を聞いた瞬間その心配は吹っ飛んだ。
「はい、月花です。」
声が明るくとてもいい感じがした。
こんな感じの人が出てくれるのかなと思いながら、企画の意図を説明するとあっさりと出演OKを頂いた。
これは、月花さんの情報をしらべなければ話を聞くことができない。
ツイッターを頼りに手がかりを探す。「女王様のおもてなし」がすぐに検索でひっかかってきた。
アドバイザーを担当?ドラマ出演多数。鬼才園子温監督の「愛のむきだし」出演・キャスティング?
どうやればそのような仕事に就けるのか知りたくなった。これは会って是非とも聞かなければならない!
そして月花さんの収録日がやってきた。
果たしてやってきてくれるのかどうかがヨウメイの唯一の心配事であった。
美女と野獣ならぬ女王様とブサイクである。
待ち合わせ時間に遅れると連絡がメールで届いた。
これで来てもらえることが分かり安心する。
聞くことを確認しながら待つこと30分、突如黒いブーツがヨウメイの視界に飛び込んで来た。
見上げると黒いコスチュームに身を包んだ「残虐天使」月花さんが現れた。
「すみません、遅れましたー」
「全然かまいません」
どあほヨウメイの企画に出演してくれるだけでうれしかった。
そして月花さん、写真で見るよりも実物のほうが全然きれいである。
「月に代わってお仕置きよ」のセーラームーンの歌ではないがヨウメイの思考回路はこのときショートした。
たいした頭ではないが、覚えてきた情報がすべて吹っ飛んだ!
何から聞けばいいのだろう…
月花さん 前編
月花さん 後編